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こんにちは! ねこです。
突然ですが、クイズです。
まず、第1問目
まず、こちらの図をご覧ください。
この図は、プロ野球ファンの年齢別構成比の変化を表す図になります。この図をみて、3人が意見を述べています。
また、その理由は何故でしょうか?
- Aさん「このままでは、日本のプロ野球の未来は暗い」
- Bさん「日本のプロ野球市場はかなり有望だと思います」
- Cさん「Aさん、Bさん、両方の意見も当てはまる」
「考える」と「知ってる」は全くの別物
今回出題している問題は、ちきりんさん著の「自分のアタマで考えよう」から、一部抜粋し、問題として改編したものになります。
ちなみに、第一問の野球ファン構成比の問題ですが、どのようにお考えになられたでしょうか?
大多数は(もちろん私も含め)Aさんのように、プロ野球の未来は暗く感じたのではないかと思います。
ところで、Aさんですが、元々このような知識がありました。
- プロ野球は若い人は見なくなっている = 時代遅れになってしまった
- 巨人戦の視聴率でさえ、大幅に下がってしまっている = みんな見なくなってしまっている
- いい選手が、外国に行ってしまうので、日本のプロ野球がつまらなくなってしまった
それらの内容に加えて、今回の図のようなファン層が高齢化している具体的なデータもあり、より知識の裏付けが出来てしまったので、当たり前のようにAさんはこう答えました。
つまり世間や若者からは時代遅れだと思われているのであろう。
もっと若いファン層へのアプローチを積極的に増やすような努力をするべきである」
ただ、Bさんは違いました。
なぜなら、Bさんは日本に来た留学生で、上記のような知識が全くない状態だったからです。
Bさんは質問者にこのように質問しました。
答えは、もちろん40代以上です。ですので、そのように返答すると、Bさんはさらにこう質問しました。
これは、定年を迎える60才以降が、余暇時間が長いはずです。なので、そのように答えると、Bさんは自信をもってこう答えました。
また、定年後で余暇時間の長いファンも増えています。遊びや趣味の選択肢が多い若い人より、趣味が少なく余暇時間の多い高齢者のファンが増えているのはすばらしいことです。
日本のプロ野球市場はこれからかなり有望ですね!
違った視点から見る、新しい施策
この場合、Aさんは、元々自分の中で答えを持っていて、今回のグラフを見て、その答えを引っ張り出したに過ぎないと思われます。
つまり、今回のAさんの答えは、考えて答えたようでいて、実は考えてなかったのです。
Bさんは、逆に初めて知ったものなので、その場で思考したはずです。
そのため、大多数の人とは違った答えが出てきました。
もし、Bさんの答えを元にして、今後のプロ野球を盛り上げる施策を考えるなら、次のようのものがあるでしょう。
- 「プロ野球の黄金期・スペシャルDVD」の発売
昔からの野球ファンに刺さる往年の名選手(長島さん、王さん、星野さんなど)の伝説の試合や、名言などを多数収録したものを、シリーズとして販売。
- 阪神優勝シーズン・完全網羅DVDの発売
掛布・バース・真弓など、レジェンドが活躍した1985年を含む、阪神の優勝年の阪神戦を全て収録。
- ジャイアンツV9時代の試合を延々と流すケーブルテレビチャンネル
- イチローや野茂など、メジャーリーグで活躍した選手の日本時代の名場面DVD
これらの内容については、実際に当時を知らなかったとしても、ご高齢の野球ファン層には、刺さる内容ではないかと思います。
しかし、Bさんもバイアスがかかっていると、ちきりんさんは本書で述べています。
「思考」は「知識」に騙される
というのは、Bさんにもベースとなる知識があり、悲観的なAさんとは違うが、このような楽観的な答えになったとも言えるからです。
なぜかというと、ファン層の高齢化や視聴率の低下などの問題はまぎれもない事実であるのに、その点を全く見ていないからです。
つまり、Bさんも、ベースとなる知識については、何かしらのバイアスがかかっており、Aさんと同様、知識による偏向や騙しからは逃れられてないとも言えます。
もし、本当にこの図から読み取るのであれば、プロ野球の将来が明るい理由と、反対に暗い理由の両方が出てきてもおかしくないはずです。
それらの問題点を知っているCさんは、それらを踏まえ、さらに俯瞰した目線でこう答えました。
今後はもっとシニア向けのビジネスを展開したほうが、経済的にゆとりがなく人数も減ってしまう若者向けのスポーツであるより儲かるかもしれない。
しかし、一方で長期的に見れば、現在の高齢のファンがいなくなったあと、今の若者が野球に興味をもたないまま中高年になれば、プロ野球はじり貧になってしまう。
今の若者も歳を取れば野球の魅力に気がついてくれるような仕掛けを維持していく必要があるのでは?
新しい情報から思考することの難しさ
この問題は、自身の専門分野において顕著に現れます。例えば、自身の専門ではないことは、革新的なアイデアを受け入れることができる人でも、専門分野では、知識があるために新しいアイデアに否定的に入る人は多いのではないでしょうか?
せっかく新しい情報を得たのに、すでに頭の中にある情報をひっぱってきても、同じような答えしか出てきません。
もし本当により良い答えを導き出したいのなら、新しい情報を得た時には、いったん今までに得た知識を横に置いておき、新しい情報からいったん考える必要があります。
続きまして、第2問目
まずは、AさんとBさんの会話をご覧ください。
- はい。正しい反論です。
- いいえ。論点がずれているため、正しい反論ではありません。
論点をすり替えられないために
これだけ見ると、Bさんは、Aさんの意見を踏まえた上で反論をしているように見えます。
しかし、結論をいいますと、Bさんは、Aさんの論点とは違うレベルの話をしています。
そのことを理解するために、Aさんの意見を4つのステップに分けてみます。
- 世の中には非正規の社員と、正社員がいる。
- 非正規社員の中には、自分で望んでそうなっている人と、本当は正社員になりたいのに仕方なく非正規雇用で働いている人がいる。
- 正社員を望んでいるのに正社員になれない人の中には、何回も同じ会社で契約を更新しながら非正規社員のまま長年働いている人がいる。
- その中には、有給休暇もボーナスもないなど、不公正な労働条件を強いられている人がいる。また彼らは長年働いていても、急に解雇されてしまうこともある。これは不当なことである。
Bさんの意見は、ステップ 2. まではAさんの意見と同じです。つまり正社員と非正規社員の2種類があるというところまでは同じ認識です。
Aさんの意見は、その非正規社員の中で、正社員のように長年働いている人に注目した上で、その扱いに対して不当であると述べています。
つまり、3. というステップを経由して、4. という結論に達しています。
本来、反論として成立させるには、Bさんも 3. というステップを通るべきですが、2. のステップからの分岐に対して意見をしています。
当たり前ですが、ステップ 2. を経由している時点で、Aさんも、Bさんのように、なりたくて非正規雇用になっている人もいるということは認識しているはずです。
Aさんは、この事実に気づいて指摘できないと、話をはぐらかされてしまうことになりかねません。
最後の問題です
最後に問題です。
下のグラフは、出生数と合計特殊出生率(女性が15歳〜49歳までに産む子供の数の平均)の推移になります。
これについて、考えられる疑問点を以下に書き出しました。
- なぜ、戦後すぐの数年間、こんなに出生率が多いのか?
- なぜ、その後は急激に出生数が減ったのか?
- なぜ、1966年だけは出生数が落ち込んでいるのか?
- なぜ、1971〜1974年ごろに再び出生数が増えたのか?
- なぜ、1970年代半ば以降、出生数はまた減ってきたのか?
- なぜ、最近は出生数と合計特殊出生数は横ばいなのか?
この問題に対しては、興味がありましたらぜひインターネットで色々調べてみてください。あるいは、何か自分で常々感じている疑問を書き出して調べてみるのも良いかもしれません。
答えや考え方のプロセスが気になる方は、是非、ちきりんさんの「自分のアタマで考えよう」をお読みください。
今回は、本書を読んでみて面白かったので、その面白さが伝われば良いと思い、クイズ形式で書かせてもらいました。
他にも、いろいろな事象について多角的に思考するためのアイデア、プロセスなどが記載されていますので、続きが気になる方は読んでみると、いろいろな気付きがあるかもしれません。
参考サイト
Chikirinの日記
https://chikirin.hatenablog.com/